桜の名所 展勝地

花巻の隣、北上市に在ります北上市立公園「展勝地(てんしょうち)」は、「さくらの名所100選」や、青森県の弘前公園・秋田県の角館と共に「みちのく三大桜名所」に数えられる桜の名所で、今年開園100周年を迎えました。昨年は、新型コロナウイルスの影響で、さくらまつりが中止になってしまいましたが、100周年記念の今年は、感染症拡大防止から、内容を縮小し開催されました。

展勝地は、4月中旬頃に咲き始めるソメイヨシノから5月上旬に咲くカスミザクラなど約150種の様々な桜が、293㏊の公園内に1万本あると言われ、特に北上川に沿って、珊瑚橋(さんごばし)から約2㎞の桜並木は桜のトンネルのようで、その景観は見ごたえがあります。

この一帯は、以前から県下一の名勝であったものの、付近の山は乱伐され、荒廃するままになっておりました。小地方的な景勝地になってしまうことを危惧し、ここを国家的な景勝地にしようと、1920(大正9)年、沢藤幸治氏(後の黒沢尻町長…黒沢尻町は現在北上市の一部)のもと、桜の植栽事業が行われ、翌年開園しました。各地の桜の名所は同一種を植えたものが多いとのことですが、展勝地は計画段階から各種の桜を植えることと、桜は常緑の背景によって一層美しくなることから桜の植樹だけではなく、アカマツなどの他の樹木も育成しました。沢藤氏の親友が、公園内の高台「陣が丘」からの眺めが素晴らしく、展望のきいた名勝・景勝の地なので、展望の展と景勝地の勝をとって事業の団体を「展勝会」と名付け、そこからこの地を展勝地と呼ぶようになったそうです。(北上市ホームページより引用)

さくらまつりの期間は、こいのぼり約300匹が北上川の上空を泳ぎ、川には遊覧船と渡し舟が、桜並木の間を観光馬車が往来し、夜には桜がライトアップされ幻想的な美しさです。今年は感染防止の観点から遊覧船・渡し舟・観光馬車は中止、ライトアップも期間が短縮されてしまいました。さくらまつりを彩る名物行事おいらん行列の「黒沢尻歌舞伎さくら道中」も、規模を縮小し、近くの「みちのく民俗村」演舞場で行ったようです。付き人迄も再現したおいらん行列は全国でも珍しいとのこと。以前、私が観た時は、美しい男子中学生のおいらんが桜並木の中を練り歩いていました。今年は出店も縮小でしたが、毎朝臼と杵でついている名物の「展勝地もち」は、購入することが出来ました。あんこ・ごま・きなこ等どれも美味しいのですが、私が迷わず買うのは「くるみもち」です(笑)。

密を避けて行きましたので、桜は散り始めていましたが、来年コロナが収束していることを願い、ぜひ満開の桜を見にいらしてください。桜を過ぎても、ツツジ、紫陽花、ひまわり等、季節の花々も楽しめますよ。