鬼の館

昨年から今年にかけて漫画(アニメ)「鬼滅の刃(きめつのやいば)」)が話題となり、映画の興行収入は歴代一位に、今年は海外でも上映と、人気はまだまだ続きそうな気配です。我が家でも80代の姑が、孫の影響でハマりました(笑)。そんな鬼滅の刃人気の影響で、花巻の隣、北上市に在る博物館「鬼の館(おにのやかた)」が昨年秋頃より注目されているようです。

郷土芸能「鬼剣舞(おにけんばい)」の発祥地とされる北上市の岩崎地区に建っている市営の博物館は、いろいろな物語や伝説などで敵役として登場する「鬼」がテーマの珍しい博物館です。1994年に開館し、お面や絵巻物など、全国や海外の鬼にまつわる資料を展示しています。施設内に入ると正面に3メートルほどもある大きな鬼剣舞の「鬼面」が目に飛び込んできます。

展示室の入り口横には「ゲゲゲの鬼太郎」の鬼太郎やねずみ男達が出迎えてくれ、「鬼の門」をくぐると、鬼が現れると言われる「逢魔が時(おうまがとき)」の空間が、鬼との出会いを連想させるような映像で展示室へいざないます。展示は、様々な姿に想像された鬼を「大人(おおひと)」「鬼神(きしん)」「餓鬼(がき)」「妖怪(ようかい)」に分類し展示しています。それぞれの特徴がよく出ていて、色とりどりの鬼たちに目を奪われてしまいます。展示物の近くに行ってみると、いきなり面の顔が変化するものや、「あなたの鬼度テスト」をチェックして、顔を上げて前を見ると…(あとは見てのお楽しみ(笑))と、いろいろ仕掛けのある展示物も有り、見て聞いて(音声で)楽しむこともできます。地獄絵 図を見て「子供の時、お盆のお寺へお参りに行くと、このような絵が飾って合って、怖かったなぁ。」と思っていたら、小さな子が、先ほどの顔が変わる展示物の前で大泣きしている声が聞こえました。子どもの時は、「鬼」=怖いものでした。大人たちは、それをいいことに言うことを聞かないと「鬼が来るよ!」と脅していましたよね。私も子供たちに使いました(笑)。

国内だけでも、ところ変われば、鬼の捉え方や関わり方が違うことが面白く、海外の展示物もまた違って、本当に興味深いです。鬼は怖いだけではなく、大きいとか強いとか、ものすごいという意味でつかわれることもあります。一つの事に対して一生懸命に頑張っている人のことも「○○の鬼」という表現もしますね。鬼にも、敵役としての怖い鬼だけではなく、守ってくれる鬼や、かわいらしい鬼もいます。見終わった後、鬼が好きになりそうな博物館です。

「岩手」の名の由来には鬼伝説とかかわりがあり、郷土芸能「鬼剣舞」は鬼面を付けますが、鬼ではないようです。次の機会にご紹介したいと思います。

今は、コロナと言う鬼に敗けないよう、それぞれが万全の策を講じましょう。全集中で!