引き継ぐ老舗の味
今年も、コロナ禍の中、緊急事態宣言で年が明けてしまったような気がします。オリンピックイヤーでもあり、本当に開催できるのかと不安を抱かざるを得ません。イベント関係もさることながら、飲食店などに対する影響は計り知れないものがあります。
昨年の秋に、地元のみならず、県外からも訪れる名店が閉店を発表していましたが、昭和の雰囲気漂う花巻のマルカンビル大食堂を運営する上町家守舎(かみちょうやもりしゃ)が、経営と味を引き継ぐことになり、今年1月から新たな経営で営業しています。
そのお店は、花巻市双葉町にある創業65年の餃子の名店「夜来香(イエライシャン)」です。前オーナーが、高齢になってきたため、店をやめることを話していましたが、花巻からこの店を無くすことはできないと、上町家守舎が、事業継承を申し出ました。マルカンビル大食堂での提供も見据えているとの事。現在は、夜来香の店舗で営業しています。以前からテイクアウトに特化していた夜来香は、このコロナ禍においても変わらない売り上げを推移していました。かたや、市民が復活を待ち望んでいたマルカンビル大食堂は、コロナ禍のあおりを受けています。その中で、夜来香の販売力・ノウハウも取得でき、大食堂の経営にも生かせるのではないかと期待もしているようです。野菜がたっぷり入った餡を厚みのある皮で包んだ小ぶりの餃子が、まるでケーキのように丸くフライパンの中でカリッと焼きあがっているのが夜来香の餃子です。大食堂のマネージャーが、修業し、お墨付きをもらって引き継ぎました。修業期間には、常連さんたちとのお話の中から、お客様との歴史を垣間見ることが出来たそうです。きっと、お店の雰囲気も継承しつつ、お客様が喜ぶような新たな展開もしてくれるのではないでしょうか。売り切れになる事がありますので、特に密を避けるためにも、電話で予約してからのテイクアウトがおススメです。
私の大好きなお店で、以前に紙面で紹介したことのあるラーメン店「高権」(地元民は親しみを込め「権さん」と呼びます)が、やはりオーナーの高齢化により、昨年11月の末で90年の歴史を閉じました。本当に残念でなりません。子供の頃から親しんできた味が無くなるのは、本当に寂しいことです(泣)。個人的な希望ですが、せめて全国にもファンのいる名物の「高権麺(通称:ごんめん)」だけでもマルカンビル大食堂さんが継承してくれないかなぁと思っています(笑)。
全国でも、コロナ禍での経営難や、継承者不足が深刻なお店もあると思います。何とか地元のソウルフードを無くさないよう、皆さんも、テイクアウトなど、できる範囲で応援し、地域のお店に貢献していただけると嬉しいですね。