大病院のお引越し
毎日、新型コロナウイルス関連の情報が流れ、収束に向かっている感はあるものの、まだまだ油断はできない状況が続いています。この状況下で、私達の生活を支えていただいているすべての方、特に医療に従事なさっている皆様には、深く感謝申し上げたいと思います。今回は、病院関係のお話です。
創立120年を誇る「学校法人 岩手医科大学」は、医療人の育成と、地域医療に貢献しています。施設の老朽化と拡張できるスペースがないことから、平成14年に、盛岡市中心の内丸より、盛岡市の南に隣接する矢巾町に移転設備計画が決定し、大プロジェクトが始まりました。平成19年矢巾キャンパスが開設され薬学部を新設、平成23年に医学部・歯学部を移転、平成29年には看護学部を開設、我が国初めて、医学・歯学・薬学・看護学の医療系4学部を同一キャンパスにそろえた医療系総合大学になりました。隣の教室で学んでいるという環境は、4学部の関係を強固なものにし、これからのチーム医療を学ぶ上で、とても有意義なものだと感じます。大学の移転と同じ理由で、附属病院も矢巾キャンパスの隣に建設され、昨年の9月に移転となり、1000床規模の大病院の引っ越しは、日本でも前例がなく、特に医療現場からは注目される大移動となりました。
岩手の医療の中核を担い、高度治療・入院の機能を持つ大学病院は、難病・重篤患者も受け入れているため、100名を超す患者の移送には、警察・消防・自衛隊の公的機関のほか民間の救急車等も協力した「オール岩手」、さらに青森の救急車、引っ越しに伴い患者の受け入れをしてくれた宮城・秋田の病院等を含めた「オール東北」を旗印に掲げ、挑みました。約10㎞の大移動に、道路には一般車両の乗り入れも規制され、医師や看護師が同乗した救急車・ドクターカー・自衛隊車両・介護車両・マイクロバス等53台でのピストン搬送となりました。警察・消防・自衛隊を含め、患者の急変等を想定した予行練習を行い、約1,200名のスタッフで臨んだ大事業は、無事何事もなく、想定より3時間程早く終わることができました。
敷地内には、病院を利用する方々の利便性を考えた、コンビニやレストランのあるアメニティ施設、調剤薬局や健康増進施設の入る施設、県内最大級のホテルもあります。また、県立療育センターと県立盛岡となん支援学校が一体化した施設もあり、障害のある子供に対して、医療と教育が連携し、退院後に社会で豊かに生活できることを目指します。
まだまだ、地方の医療現場は、医師不足です。出来れば、岩手の医療を支えていただける、医療従事者が育ってくれることを切に願います。
どうか皆様、体調にはお気をつけて、お過ごしください。