台風19号及びその後の豪雨により、被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。また、復興にご尽力されている皆様には、安全に留意されご活躍されることをお祈りいたします。皆様の安全と一日も早い復興をお祈り申し上げます。

『三陸鉄道・リアス線』
今年の春、この紙面でもお伝えし、全線開通したことを喜んでいた三陸鉄道リアス線が、先月の台風19号により多大な被害を受け、半分以上の区間が不通となり、全線復旧の見通しは立っていません。
「さんてつ(三鉄)」の愛称で親しまれ、地元だけではなく、県外にもファンの多い「三陸鉄道」は、東日本大震災の大津波によって、線路や駅舎に多大な被害を受けました。その後、震災から5日後には一部路線で運行を再開させ、この迅速な行動が被災者を勇気づけ、その復旧する過程は漫画にもなり、復興のシンボルとして、被災地に希望を与えておりました。8年の歳月をかけ復旧し、今年3月に、JR山田線(宮古・釜石間)の経営移管を受け、それまでの南北リアス線と一つになり、163kmのリアス線として新たなスタートを切りました。みな待ち望んでいた全線開通に、沿線住民は大漁旗を振りながら、乗客を笑顔で迎え、喜びを表していました。赤字続きだった経営も、6~8月に開催された三陸防災復興プロジェクト2019や、つい先日まで日本中が盛り上がっていたラグビーワールドカップの釜石開催、その他にもイベントや企画列車の運行もあり、乗客数は大幅に増え、明るい兆しも見えていたところでした。
しかし、今回の台風19号によって、また甚大な被害を受けてしまいました。土砂の流出・のり面の崩落で線路が宙づりになっているところもあり、踏切器具の冠水、山津波(やまつなみ…山崩れなどで土砂が一気に押し寄せる現象)によりトンネルが土砂でふさがれ、泥で線路も見えないほどです。釜石駅~宮古駅間(55.4㎞)と田老駅~久慈駅間(58.3㎞)は、運休を余儀なくされ、現在その区間は、代行バスにより運航しています。代行バスの車掌は、三年前に関東の鉄道会社から地元に戻り、三鉄の運転士になった女性です。テレビの取材の中で「見慣れた景色が再び一変した。これからという時に…」と寂しそう見つめる先には列車の走らない線路がありました。
特に地方にとって、地元に密着した三鉄のような交通機関は、生活するうえで、とても重要なものです。一日も早い再開が望まれます。
台風の影響で、10月13日に開催予定だったラグビーワールドカップ予選のナミビアvsカナダ戦は中止になり、地元の人々をはじめ、楽しみにしていた方々には本当に残念なことでした。その中で、カナダの選手たちが、ボランティアで泥を運んでいた姿は、心温まる話題の一つでした。カナダの選手は、地元の人達のおもてなしや交流を通して感じたことを行動に移してくれたのでしょう。
全国では、三鉄のように今回の台風等で、地方の重要な交通機関が不通になっているところがあります。三鉄にも全国から義援金が寄せられてきているようですが、ぜひ中央と地方が、公と民がスクラムを組み、「ONE TEAM(ワン・チーム)」で被災地を考えていただき、「一日も早い復興を」と願うばかりです。